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管理人のちょっとした一言。
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※トル主 現代パロです。
※主人公=トワ





「それは、この公式を使うんだ」
「は、はい」
 言われた通りにやってみると、ちゃんと答に記されている数字と合う不思議。
自分で考えてた時は、あんなにもごちゃごちゃと余分な数字や記号が残ってたって言うのに…。
「…すごい」
 思わず零した言葉に、頬杖をついてこっちを見ている藍色が細められる。
それにポーっと見とれていたら、そのまま身を乗り出したトルワドさんが、自分の唇にちょんちょんと指先で触れるんだ。

 …あっ。

 少し前まではちゃんと覚えてたはずなのに、何で頭から抜けちゃってたんだろう。
あることを思い出したぼくは、恥ずかしくなってそのまま俯く。
けど、伸びてきた右手に顎を掬われて再びその目に捕らえられる。
「授業料、だろ?」
「わ、わかってます」
「なら早くくれないか?」

 は、早く!?

 頬杖を解いてますます顔を寄せてくる相手に、ドクンと心臓が跳ね上がる。
「ち…っ、ちょっと待ってくださ…」
 心構えのできていないぼくは、トルワドさんを元の位置に戻すように手を押し出しながら身体を引いたんだけどね。
「待てない」
「ん…っ!」
 追ってきた右手に顔を、伸びてきた左手に腕を捕らえられ。
唇も……トルワドさんのそれに、捕まってしまった。

 

 目の前のテーブルには数学の補習プリントが広がっている。
それなのに、どうしてこんなことになっているかっていうと…この間のテストが原因なんだ。
 実は、数学が大の苦手なぼく。
しっかり勉強して行ったつもりだったんだけど
赤点を取ってしい、再テストのための補習に出ることになった。
 授業後、いつもなら部活に行く時間に、数人のお仲間と共に教室に籠って、テスト直しに始まって基礎的な問題を散々解かされた。
なのに、それを定着させるためって言われて、3枚も宿題プリントを持たされたんだ。
 先生もひどいよね…。
補習中も泣きそうになってたっていうのに…こんなにたくさんの問題を明日までにやって来いなんて、ぼくひとりじゃ絶対無理だよっ!

 …それで、トルワドさんに泣きついた。

 お願いするぼくの言葉が止まるまで、ずっと苦笑いしながら話を聞いてくれてたトルワドさんは、ふと何か面白いことを思いついたみたいで、ニッと笑うんだ。
「ん~…教えるのはいいが…あまり頼られてもトワのためにはならないからな。授業料をもらおうか」
「え…?」
 …なんとなく、困るような気はしたんだ。
 イタズラを思いついた子どものような顔。
トルワドさんがそういう表情をするときは、大体ぼくがちょっと躊躇するようなことを言われるから。
 ぼくのその予想は外れてなかった。

「1問につき1回のキス…でどうだ?」

 どうだ…って聞かれても、泣きついたぼくに拒否権はないも同じ。
赤くなりながらも、コクリと頷くしかなかった。

 

 ちゅ、と音を立てて口の中から出ていく舌。
少し距離ができたおかげではっきり見えた顔がすごく楽しそうで、ぼくはドンと広い胸を押す。
「ふ、触れるだけでいいって言ったじゃないですか…っ」
「トワからしてくれるなら、な?」
「しようと思ってたのに、トルワドさんが…っ!」
「悪い悪い。戸惑ってるトワが可愛くて」
 そう言って頭をポンポンとされるだけで、出かかった言葉が喉で止まってしまうって言うのに。
「次はトワから、な?」
 耳元で囁かれてしまえば、怒る気もなくなっちゃうじゃないですか。

 …ずるいです、トルワドさん。


 何としてでも今日中にプリントを埋めなきゃいけないぼくは、必死に問題と向かい合う。
 1度トルワドさんに教えてもらったものが、また使える問題ならいいんだ。
でも、それじゃあ通用しない問題はすぐに出てきて、教えてもらうたびに、ぼくは羽根のように軽いキスをする。

 実は…ね?
ぼくからトルワドさんにキスするのって…今日が、はじめて、だったんだ。
 いつもされる側だったから知らなかったんだけど、自分からするのって…こんなにもドキドキするものだったんだね。
 だから、最初はすっごく躊躇してたんだけど、何度も何度も繰り返すうちに恥ずかしかった気持ちも次第に薄れ、触れるだけなら問題なくできるようになった。

 これくらいの授業料ならいくらでも払えそう。

 …って考えたのがわかっちゃったのかな?
 寄せた唇を離そうとしたときに後ろ頭に手を添えられ、離れようとした唇をペロリと舐められる。
「っ!? トルワドさ…っ」
「“気持ち”が籠ってないみたいだったから、その分な」
 恥ずかしくて顔に集まってたはずの熱が、その言葉を聞いた途端、頭に移る。

 今思えば、確かに“感謝の気持ち”が籠ってなかったかな…って思えるんだよ。

 でも、どこでどうなったのか、ぼくの頭はその“気持ち”の意味を取り違えたみたいで。
「……め…ます…」
「ん?」
「ちゃんと籠めてますっ!」
 呟きに首を傾げたトルワドさんを睨みつけ、声のトーンを上げたって言うのに。
「どんな気持ちを?」
 意地悪く笑って肩を竦める姿に、思わず膝立ちになる。
「そんなの…っ!!」
 もう、ぼくの頭からは、勉強を教えてもらっていることなんてすっかり抜け落ちていて……。


「好きに決まってるじゃないですか!!!」


 叫んだ瞬間見開かれた瞳に、あ、違う…と思った自分がいた。
でも、その見当違いの言葉で羞恥が全身を支配する前に、腕を取られて身体ごと引っ張られる。
 ガタリ、音を立てた机の上からシャーペンが転がり落ちるのを視界の端に映しながら、覆いかぶさる影。

 息が、できない。

それくらい、深く深く重なる唇。
 1番最初のときはぼくをからかうだけだった舌の動きも、今は熱く…激しく変化して。
「…は…っ」
 それが銀糸を引いて離れたころには、トルワドさんの膝の上に横向きに座らされていた。
 力が入らなくなった身体を預けながら、濡れて光っている唇をぼぅっと見上げる。

「…前払い、な」

 何の前払いなのか、今のぼくにはピンと来ない。
微かに首を傾げて疑問符を浮かべれば、大きな手が頬に添えられ、また少しずつ近づいてくる大好きな人の顔。


「後で、ちゃんと教えてやるから…」


 今は…という言葉は、口の中で聞いたような気がした。





     fin




 

☆★☆
2013.4.30完成(5.4UP)

トル主アンソロジー発売おめでとうございまぁぁぁぁぁす!!!
この素敵アンソロができたのも、全ては主催してくださったmugiさんのおかげ。
本当にありがとうございます!!

感謝の気持ちをトルッシュに乗せて☆

届け! あなたの元へ。


※後日サイトかpixivに転載予定

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屑深 星夜
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