あの子なら

夏の暑い日
友だちからのメールは
突然の訃報を知らせるものだった

大切なあの子がもういないなんて
理解できるはずもなく
あまりにもあっさり
信じられないくらい急に
目の前からいなくなったあの子は
今もどこかで笑っているようで
全く現実味がなかった

でも
あの子がいないのは事実で
間違いなく現実で

それは
共通の友人との語らいを重ねるうちに

やっぱり本当なんだ

と頭だけには理解させた


最初は
出不精で筆不精の自分を責め
もっとできることがあったはずなのに
と悔やんだ
何度も何度も
思い出に浸りながら涙を流した
鬱々と嫌なことばかり考え
嘆き悲しんだ


でも
あの子との楽しかった思い出を語り合ううちに
自分のことでみんなが暗くなってるのを本人が見たら

あの
よく響く笑い声と
白い歯の見える笑い顔が
一瞬にしてどんより曇るんだろうな…

元気出してよ！
なんて
自分のことを棚に上げておいて
こっちを励ますんだろうな…

って思うようになった


遺された者が
自分を楽にするための言い訳かもしれない

それでもきっと
あの子なら

わたしたちに笑っていてほしい

そう思ってるはず


だからわたしは
笑顔でいる

あの子がいなくても
何事もなかったように進んでいく時間に
気持ちが沈むこともあるけれど

あの子が笑ってくれるように
わたしも
ニコニコ笑ってるんだ

ね？



☆★

友人を思い出してちょっとひとつ…。

わたしは元気ですよん、って思いを込めて。